特定福祉用具販売とは?
特定福祉用具販売とは、
とされています。
要介護者の方が、ご自宅でも自立した日常生活を営めるように、福祉用具の販売を行います。この販売を行う事業所のことを、「特定福祉用具販売事業」と言います。
※福祉用具のレンタル(貸与)についての詳細は下記をご参考ください、
特定福祉用具販売の対象者とは?
要介護認定で要介護1~5の方は特定福祉用具販売、要支援1~2の方は特定介護予防福祉用具販売が対象になります。
特定福祉用具販売事業を行うための基準
法人格を有すること
特定福祉用具販売事業を行うには、株式会社、合同会社、一般社団法人、NPO法人などの「法人」であることが必要です。
法人の種別は問われませんが、法人を設立してからでなければ申請をすることができません。
人員基準を満たすこと
特定福祉用具販売事業を行うには、必要な人員を置かなければなりません。
申請時点で必要な人員が確保できている必要があります。また、指定後においても、実際にサービス利用者がいるかどうかに関わらず、人員を確保していることが求められています。
管理者
1人以上必要です。
管理者は、専ら特定福祉用具販売事業所の管理に係る職務に従事する常勤の者でなければなりません。
ただし、特定福祉用具販売事業所の管理上支障がない場合は特定福祉用具販売事業所の他の職務に従事し、又は他の事業所、施設等の職務に従事することができます。管理者は後述する福祉用具専門相談員との兼任が可能です。
福祉用具専門相談員
常勤換算で2人以上必要です。
常勤換算について
常勤換算とは、非常勤スタッフやパートタイムスタッフなどの勤務時間を合計して、フルタイムのスタッフ(常勤者)に換算する方法です。福祉用具専門相談員の場合、常勤換算で「2人以上」必要とされています。
常勤換算の計算式は以下の通りです。
なお、「1人あたりの常勤の所定労働時間」は、通常1週間で40時間(1日8時間 × 5日)とされる場合が多いですが、事業所の規定に従います。
下記にその計算例を示します。
※1週間で40時間(1日8時間 × 5日)の事業所を想定しています。
<非常勤スタッフ(福祉用具専門相談員)が2名の場合>
Aさん:週30時間勤務
Bさん:週20時間勤務
常勤の所定労働時間:40時間/週
「常勤換算人数=(30+20)÷40=1.25人」
この場合、常勤換算で1.25人となり、2人以上には満たないため、追加の勤務時間が必要です。
<非常勤スタッフ(福祉用具専門相談員)が2名、常勤スタッフ(福祉用具専門相談員)が1名の場合>
Aさん:週20時間勤務(非常勤)
Bさん:週20時間勤務(非常勤)
Cさん:週40時間勤務(フルタイム・常勤)
常勤の所定労働時間:40時間/週
「常勤換算人数=(20+20+40)÷40=2.0人」
この場合、常勤換算で2人となり、基準を満たします。
福祉用具専門相談員となるための資格について
- 保健師
- 看護師
- 准看護師
- 理学療法士
- 作業療法士
- 社会福祉士
- 介護福祉士
- 義肢装具士
- 福祉用具専門相談員に関する講習であって厚生労働省令で定める基準に適合するものを行う者として都道府県知事が指定するものにより行われる当該講習の課程を修了し、当該福祉用具専門相談員指定講習事業者から当該福祉用具専門相談員指定講習を修了した旨の証明書の交付を受けた者
設備基準を満たすこと
特定福祉用具販売事業所は、
事業の運営を行うために「必要な広さの区画」を有するほか、特定福祉用具販売の提供に必要なその他の「設備及び備品等」を備えなければならない。
とされています。
なお、例えばですが、東京都では、「利用申込の受付・相談等に対応するのに適切なスペースも確保するもの」とされています。申請先の自治体によって、設備基準は細かく異なりますので、事前に確認を行う必要があります。
販売の対象となる福祉用具について
販売の対象となる福祉用具については、下記サイトがわかりやすいので、参考にしてください。
介護保険と福祉用具「レンタル・販売対象種目」:一般社団法人全国福祉用具専門相談員協会
運営基準を満たすこと
運営基準とは、適切なサービスを提供するにあたって特定福祉用具販売事業所が行わなければならない事項や留意すべき事項など、事業を実施する上で求められる運営上の基準です。
運営基準は多数ありますが、その多くは指定申請後に満たすべき基準になっています。また、独自の運営基準を設けている自治体もあります。
福祉用具貸与事業所が満たすべき運営基準項目の例
- サービスの提供の記録
- 販売費用の額等の受領
- 保険給付の申請に必要となる書類等の交付
- 指定特定福祉用具販売の具体的取扱方針
- 特定福祉用具販売計画の作成
- 記録の整備
- 内容及び手続の説明及び同意
- 提供拒否の禁止
- サービス提供困難時の対応
- 受給資格等の確認
- 要介護認定の申請に係る援助
- 心身の状況等の把握
- 居宅介護支援事業者等との連携
- 居宅サービス計画に沿ったサービスの提供
- 居宅サービス計画等の変更の援助
- 身分を証する書類の携行
- 利用者に関する市町村への通知
- 業務継続計画の策定等
- 衛生管理等
- 秘密保持等
- 広告
- 居宅介護支援事業者に対する利益供与の禁止
- 苦情処理
- 地域との連携等
- 事故発生時の対応
- 虐待の防止
- 会計の区分
- 管理者の責務
- 勤務体制の確保等
- 特定福祉用具販売の基本取扱方針
- 運営規程
- 適切な研修の機会の確保並びに福祉用具専門相談員の知識及び技能の向上等
- 福祉用具の取扱種目
- 掲示及び目録の備え付け
申請先と開業までのスケジュールについて
特定福祉用具販売事業を行うための申請書の提出窓口は、都道府県または市(区)町村です。この申請に基づき指定を行う行政機関のことを「指定権者」と呼びます。
指定権者から指定を受けなければ、特定福祉用具販売事業を行うことはできません。
多くの自治体では、申請書を提出してから指定が行われるまでに、1か月半から2か月程度の期間を要します。そのため、開業を予定している方は、遅くとも3~4か月前から申請に向けた準備を開始する必要があります。
なお、指定までのスケジュールは指定権者によって異なるため、事前に確認することが重要です。
さらに、一部の自治体では、申請の前に管理者となる予定の者や会社役員に研修の受講を義務付けている場合や、申請窓口との事前面談(対面・電話など)を求められる場合があります。余裕を持ったスケジュールで準備を進めることで、申請手続きがスムーズになります。指定日については、基本的に「毎月1日」となります。