行動援護事業の人員について
訪問系サービスである行動援護事業の指定を受けるには、人員に関する基準を満たしていることが必要です。
事業所において毎月の勤務表を作成しますが、この勤務表に基づいて、サービスを提供する人員が行動援護事業で必要とされる数を満たしていることが確認されます。
人員に関する基準は、指定を受けた後も常に満たしていることが必要となりますので、ある程度余裕をもった人員の配置を心がけましょう。
管理者
管理者は、1人必要です。
管理者に資格は必要ありませんが、①常勤、②専従で、管理業務に従事することが求められます。
①常勤とは、就業規則において常勤の従業者が勤務時間として定められている時間数働いていることを指します。例えば、就業規則に労働時間は「1日8時間・1週間40時間」と定められているのであれば、週40時間働いている人が「常勤」となります。
雇用形態として正規職員であるか、非正規職員であるかは問われません。つまり、正社員やパートなどを問わず、フルタイムで働く人のことです。
②専従とは、事業所で勤務する時間帯において、原則管理業務以外の職務に従事しないことを指します。簡単に言うと、労働時間内は管理業務のみ行って、他の業務は行わないということです。
ただし、管理業務に支障がなければ「従業員との兼務」または「同一敷地内や隣接地にある他の事業所の職務」との兼務は可能です。
サービス提供責任者
サービス提供責任者は、1人以上必要です。
①常勤、②専従であり、③指定の研修を修了していること、④事業規模に応じた人数を置くことが求められます。
①②については、管理者と同じ要件です。専従についてですが、管理者とサービス提供責任者は、兼ねることができます。
③指定の研修を修了しているとは、以下の研修であることが必要です。
・行動援護従事者養成研修修了者
・強度行動障がい支援者養成研修修了者(基礎研修及び実践研修)
そして、上記の研修を修了していることに加えて、知的障がい児者又は精神障がい者の直接支援業務に3年以上従事した実務経験が必要です。
④事業規模に応じた人数とは、事業所の「利用者数」「サービス提供時間」「従業者数」のいずれかにより算出された数を指します。
<配置基準>
・事業所の利用者数40人又はその端数を増すごとに1人
・月間のサービス提供時間450時間又はその端数を増すごとに1人
・従業者数10人又はその端数を増すごとに1人
上記より算定した数のいずれか低い方の基準が適用されます。
事業所の利用者の数については、新規事業開始時においては、適切な方法により利用者の数を推定します。
例えば、開業時に見込まれる利用者の数が40人以下であれば、サービス提供責任者は1人で良いということです。
※いずれか低い方の基準が適用されますので、月間のサービス提供時間数や従業者数の基準でサービス提供責任者が2人以上必要であったとしても、利用者の数が40人以下であれば1人で問題ありません。ただし、あくまでも最小限必要な員数として定められたものですので、実態に応じて必要な数の配置が必要です。
ヘルパー
ヘルパーは、常勤換算で2.5人以上必要です。
①指定の研修を修了していること、②常勤換算で2.5人以上置くことが求められます。
①指定の研修を修了しているとは、以下の研修であることが必要です。
・行動援護従事者養成研修終了者
・強度行動障がい支援者養成研修終了者(基礎研修及び実践研修)
そして、上記の研修を修了していることに加えて、知的障がい児者又は精神障がい者の直接支援業務に1年以上従事した実務経験が必要です。
②常勤換算とは、全従業員の労働時間を常勤の人が何人働いているかに換算した時の人数を示した数字です。
事業所で働いている人たちは、常勤(フルタイム)で働く人だけとは限りませんので、単にヘルパーさんの人数ではなく、勤務時間から必要な人員が求められます。
常勤のヘルパーさんの労働時間が週40時間だとすると、週20時間しか働いていない人は0.5人と換算されます。
具体的な計算方法は、「ヘルパーさん全員の1週間の勤務時間合計」を「週の労働時間で割る」と算出されます。
Aさん、Bさん、Cさん3人のヘルパーさんがいたとします。Aさん、Bさんは常勤ですが、Cさんはパートタイムの非常勤です。
・Aさん 週40時間勤務
・Bさん 週40時間勤務
・Cさん 週20時間勤務
ヘルパーさん全員の1週間の勤務時間合計「100時間」→これを週の労働時間「40時間」で割ると「2.5人」になります(基準クリア)。
ヘルパーさんうち1人をサービス提供責任者としますので、ヘルパーAさん=サービス提供責任者Aさん=管理者Aさんとなることも可能です。
つまり、行動援護事業を立ち上げるために必要な最低人数は3人(常勤換算で算出すると2.5人)ということになります。