経営

はじめに

介護・障がい福祉事業の独立開業を目指す方にとって、法務と労務は避けて通れない重要な分野です。

しかし、専門知識が必要なため、手続きや運営に関する不安を抱える方も多いのではないでしょうか。

本記事では、社会保険労務士と行政書士という2つの資格を活かし、介護・障がい福祉事業の開業支援を行っている弊社が、開業を成功させるためのポイントを分かりやすく解説します。

介護・障がい福祉事業の開業で求められる法務とは?

介護事業を開始するためには、さまざまな法的手続きが必要です。

以下に、具体的なステップを解説します。

(1) 法人設立

介護・障がい福祉事業を行うには、個人事業ではなく法人格が必要です。株式会社や合同会社、NPO法人が一般的な選択肢です。

ポイント

事業目的や定款に介護事業や障がい福祉事業を行う旨を明記する必要があります。

障がい福祉サービス事業を行う法人の定款事業目的について

(2) 介護・障がい福祉サービスの指定申請

介護事業の居宅サービス等や障がい福祉サービスを提供するには、都道府県や市区町村に指定申請を行い、許可を得る必要があります。

主な申請内容
  • 施設や設備の概要
  • スタッフの配置計画
  • 事業計画 etc

(3) 法律や規制への対応

開業後は、「介護保険法」や「障がい者総合支援法」などの関連法令を遵守する必要があります。

注意点

法改正が頻繁に行われるため、最新情報を常に把握することが重要です。

労務管理の重要性と対策

介護・障がい福祉事業は「人」が主役の業界です。スタッフの労務管理が事業運営の成功を左右します。

(1) スタッフの採用と育成

採用時の注意点

必要な資格(介護福祉士、初任者研修修了者など)を持つ人材を確保。
就業規則や労働条件通知書・雇用契約書を整備し、雇用条件を明確にする。

育成のポイント

定期的な研修を実施し、サービス品質を向上させる。
キャリアアップの支援(資格取得の補助など)を行う。

(2) 就業規則の整備

労働基準法に基づき、労働者が常時10名以上いる場合は就業規則の作成・届出が義務となります。

ポイント

介護業界特有のシフト制や残業管理に対応した内容を含める。

(3) 労働環境の整備

スタッフの離職を防ぐため、労働環境の改善が不可欠です。

具体策

業務負担を軽減するためのICTツールの導入。
働きやすいシフト作成や年次有給休暇(年休)の取得の推進。

社労士と行政書士の役割とは?

(1) 行政書士が担うサポート

  • 株式会社や合同会社などの法人設立手続き
  • 障がい福祉事業の指定申請書類の作成・提出
  • 補助金の申請サポート・アドバイス

(2) 社労士が担うサポート

  • 介護事業の指定申請書類の作成・提出
  • 就業規則や雇用契約書の作成・見直し
  • 労働基準監督署や年金事務所・ハローワークへの届出代行(社会保険や雇用保険など)
  • スタッフの採用計画や人材管理のアドバイス
  • 助成金の申請サポート・アドバイス

開業成功のためのポイント

介護事業の開業を成功させるためには、以下のポイントを押さえましょう。

(1) 資金計画の立案

開業資金だけでなく、運転資金や初期の赤字を見込んだ計画が必要です。日本政策金融公庫の創業融資を活用するのも一つです。

(2) 地域ニーズの把握

地域の高齢者人口や競合事業所を調査し、適切なサービスを提供。

(3) 継続的なサポートを受ける

開業後も、行政書士や社労士に継続的なサポートを依頼し、法務や労務の課題を適時解決。

まとめ

介護事業の開業は、法務と労務の両面での適切な準備が成功の鍵を握ります。

手続きの負担を軽減し、効率的に事業を立ち上げることが可能です。

法令遵守や労務管理を徹底し、地域に信頼される介護事業所を目指しましょう。開業支援をご希望の方は、ぜひお気軽にご相談ください。